まぶたまわりの手術(眼瞼下垂、睫毛内反、鼻涙管閉塞など)
眼瞼下垂
歳を取る毎に目が疲れたり、ぼやけたり、視野が狭くなってつまずきやすくなっていませんか。その原因の一つに加齢による「まぶたの垂れ下り」があります。上まぶたの皮膚が弛むと目が細くなり、視野が狭くなってつまずいたり、転んだりしやすくなります。また、上まぶたを挙げる筋肉や筋膜が緩み、同じような症状を起こします。50歳を過ぎれば誰でも皮膚の皺も増えますが、同時に上まぶたの皮膚、筋肉、筋膜が弛んで「眼瞼下垂」になっています。これを治す方法があります。保険診療で、しかも通院の手術(局所麻酔)で治すことができます。ご自分の右手で左右の眉毛を持ち上げて下さい。これで視野が広くなり、目が楽になれば眼瞼下垂があると思われ、手術の適応があり、目の重さが改善することが期待できます。
眼瞼下垂で皮膚弛緩を伴う手術方法を示します。左右の対称性を確認するためにまず、内眼角部と外眼角部に印しをつけ、線を引きます(1)。内眼角部は内眼角襞、外眼角部は上眼瞼睫毛がなくなる部位とした。瞳孔中心と外眼角を通り瞼縁に垂直な線を引き、それぞれの最大眼瞼高を計測します(2)。外来時に測定した坐位での安静時眼瞼高をもとに切除量を決めます。次に重瞼線が明瞭であればその線を下端として切除量に合わせ紡錘状にデザインを行います(3)。重瞼線が明瞭でない時には瞼縁から約7mmに設定します。外眼角部では正三角形を形成するように外側へ約10mm切開線を延ばします。
写真の方の場合、最大眼瞼健康高は左右とも32mmと安静時眼瞼高24mmとの差8mmを切除量としました(4)が、実際の皮膚の厚さ術前の眉毛の位置などを参考に切除量を決めます。
挙筋機能が10mm以下であれば、挙筋腱膜前転術やミューラータックを適応しますが、タッキング量は7mmを基準とし、間隔7mmで3カ所に糸をかけます。術中坐位でMRDを確認し不足があればさらにタッキングを増して調節します。
術前後の写真を示します。
睫毛内反
まつげが目に当たって痛いことがありませんか?これはまつげ(睫毛)が目の方に傾く(内反)ため、目を傷つけてしまうからです。下まぶたの加齢性変化で皮膚が弛み、その結果まつげが日側に倒れ込む睫毛内反症は通院の局所麻酔手術で良くなることが期待できます。保険の適応です。手術は局所麻酔により弛緩した筋膜の修復や余剰皮膚の切除を行い、内反した睫毛の治療をすることができます。
鼻涙管狭窄・閉塞による涙目
涙が目から鼻に抜けて流れる道を鼻涙道と言います。この鼻涙道がどこかで狭くなり詰まってしまうと涙が鼻に抜けず、涙目になってしまいます。また、涙嚢と言って涙道の途中にある涙が溜まる場所に炎症を起こすことがあり、目頭が赤く腫れる涙嚢炎を繰り返します。この治療法の一つにNSチューブ挿入という方法があります。上下まぶたの目頭方向にある涙点から細いヌンチャク型のチューブを入れ、涙道を通して鼻へ導くやり方で涙が溜まる症状が緩和することが期待できます。さらに、重症の鼻涙管閉塞では涙嚢鼻腔吻合術を行います。局所麻酔科に目と鼻の間に1.5cmくらい皮膚を切って涙嚢を出し、詰まっているところを切り、新たに鼻腔に穴を開けて通すやり方です。